夢想奇譚
2,“深海遊泳”



これは眠った時に見た夢の話。

水は限りなくクリアだった。
光の当たっている上の方は薄い群青とオパールグリーンをたたえ、
光の当たっていないところは深いインディゴをしていた。
全体的に少し暗く、しかしながら
その水の冷たさは心地良かった。
私はその水の中で自由に息が出来、泳いでいたのだ。
美しいグラスグリーンの水草と
オペラピンク、ライトオレンジ、ダンディライオン、ヴァイオレット等様々な色をした魚と共に。
一体私は何をしに何処へ行く途中だったのだろう。
光のさす方に向かっていたのは確かだ。
何か大事なことがあったのに
泳いでいるうちに忘れてしまった。
そういえば、あれは本当に海だったのだろうか。
湖であったかもしれない。
もう、それすらも怪しい。




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